症例報告 5


 

症例報告 「脊髄小脳変性症」(多系統萎縮症)

2017年3月31日、メールで下記の問い合わせがあり、4月15日より当院にて治療を始めました。

「多系統萎縮症が発覚して5年が経ち、当時はまだ歩けたのですが、足が震えるため、今では屋外での移動は車椅子です。家の中だと手すりや四つんばいで移動してます。また、手も震えるため文字が乱れます。その他に頻尿なのに排尿排便障害と、少しでも改善出来たらと思っています。症例はないのですが治療は可能ですか?」

という内容で、初めはどうお答えしたらよいか迷っていましたが、その後来院されるようになりました。この病気は脊髄や小脳、脳幹の神経細胞が萎縮していき、徐々に破壊、消滅し、主に運動機能障害が起きて、身体が動かなくなる病気です。
症状は、初めは歩行困難、言葉を発しにくい、視力や筋力の低下、排泄障害等の神経変性疾患です。遺伝性以外は進行が早く、一般に5年程度で寝たきりになる場合が多いと言われています。

初診:2017年4月15日(土)
病名:脊髄小脳変性症(多系統萎縮症)  年齢:54歳 性別:男性 帯広市在住
既往歴:痛風10年以上。
20代、交通事故によるムチウチ。
30代、腰椎頸間板ヘルニア。40代、頸椎狭窄。
服薬:神経内科にてセレジスト他2種類。泌尿器科にてユリーフ等。
初診時所見:単独歩行不可。家人に手をかけて歩く。言葉が発しにくく、喉の奥からやっと出るような声で聞き取りづらい。眼が充血しており、焦点が合わず物が見づらい様子。動作が緩慢で肥満気味。
舌診:胖大やや歯痕。右に少し歪斜。苔薄。淡紅。舌下静脈怒張(右>左)。
治療:当院で10年位前から実施している“刺さずにできる陰陽太極鍼”(別紙参照)。
十二経脈の切経で「開穴」を探し、過敏な「開穴」から刺さずに王不留行や小さい鍼を補瀉の向きに置いた後、体の変化を確認。直後に腹部、腓腹筋、首周等が柔らぐ。
使用した経穴は、肝経、腎経、胃経、膀胱経、胆経が多く、背部兪穴の陥凹部に温灸と耳垂刺絡等を行なった。直後に動作がよくなる。治療中に今まで汗をかかなかったのに汗が出てくる。肩、首のこりが緩和され頭の動きが楽になる。
  • 2回目/4月22日(土)
    舌を出す時、力強く出る。汗をかくようになったので、夜のトイレの回数が減る。2時間間隔での尿意が4時間になった。寝返りが早くなった。
    治療は天井(三焦経)で腓腹筋と腹部が楽に。右季肋の張りに大敦、他に太谿、湧泉、上巨虚、背部兪穴(心、肝、胃、腎)、委陽、申脈、束骨、耳垂刺絡等を行なう。
    *三焦は上焦、中焦、下焦の三焦に影響
  • 3回目/5月6日(土)
    基本的に震えるのは風症なので肝が主る。大敦(肝経)。脳髄は腎が主る。
    太谿(腎経)。舌の胖、歯痕は脾。陰陵泉(脾経)。
    その他仙骨と至陽の陥凹部に温灸。
  • 4回目/5月13日(土)
    視力 治療前(右)1.0(左)0.9 →治療後(右)1.2(左)1.2
    手が震えている。示指(大腸経)。督脈の霊台、脾兪陥凹部に温灸。
    委陽、崑崙、申脈、足心、湧泉、天井、耳垂刺絡。
  • 5回目/5月18日(木)
    以下、同様に切経後、治療。前回に加えて尺沢(肺経)を加える。
    皮膚感覚が鈍く、熱を感じにくい。
    10秒ほど1人で立つことが可能になった。
  • 8回目/5月27日(土)
    温感が鈍いため、点灸プラス9壮で熱さを感じる。
    治療後、ベッドの周囲を不安定ながらも単独歩行。
  • 9回目/5月30日(火)
    仙骨の温灸+点灸1壮で熱感あり。
    治療後、ベッドからトイレまで単独で歩行(動画あり)。シャツのボタンがかけられた。
  • 10回目/6月3日(土)
    体温が1℃上がった。寒がりでなく暑がりになった。
    釧路へ行った際、歩行速度、表情が良くなったと言われる。
    足の爪の巻き爪がまっすぐになってきた。
  • 14回目/6月17日(土)
    前回の治療後、車まで単独歩行。体重が89s(昨年秋)→83s。
  • 15回目/6月20日(火)
    耳垂部刺絡 腰痛 背部痛。5年ぶりに空腹感あり。よく話すようになった。
  • 17回目/6月27日(火)
    自分で体のコントロールがしやすくなったので気持ちが明るくなった。
  • 18回目/7月3日(月)
    治療後、2日間位はよい。(声出やすいが、再び出にくくなる)
    (この日、発症した時の事、色々話あり。仕事上の変化でストレス大。精神不安定だった。10月甥っ子さんの結婚式で上京予定入る。それまで努力して…)
  • 19〜23回目/7月6日(木)〜24日(月)
    視力 右1.2左1.0 → 右1.5左1.5  近点 0.4 0.2 → 0.4 0.4
    口が乾燥しなくなった。涙が出るようになった。テレビを見てよく笑う事が多くなった。
    食後、よく寝ていたが寝なくなった。暑がりになった。
    声を発しやすくなった。杖を使わず立ち上がるようになった。
    歩くとき、前を向いて歩くようになった。
  • 27回目/8月7日(月)
    耳穴の小脳点に貼ると平衡感覚がよい。天突で声出しやすくなる。
  • 28回目/8月10日(木)
    足が動かしやすくなった。耳の脳幹、小脳に貼る→歩きやすくなった。

現在も治療継続中





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