症例報告 3


 

70代 女性
主訴:右母指が痛くて動かない。その他、腰が重苦しい、膝屈曲時の疼痛。
現病歴:1週間前から原因不明の右母指運動制限があり日常生活(お茶碗が持てない、服の脱着など)に支障をきたしている。特に屈曲時に痛み、第一関節にバネ指症状有り。
既往歴:両膝人工関節手術、脊柱管狭窄症L4・5(医師から手術を勧められてる)、糖尿病。
腹診:下脘 *1、左肓兪に圧痛
首周:翳風、風池、天柱、後頸部(C3、4)に圧痛
腓腹筋:両下(肝)
舌:苔厚

治療
 右母指に関連する経脈は肺経(伸展制限)・大腸経(屈曲制限)である。肺経、大腸経の他に、陰陽関係で *2 膀胱経・脾経・腎経を診る。また脾は関節と関係が深いため、脾の治療を重点的におこなう。
切経をおこない、右曲池(補)が一番過敏に反応したので王不留行を貼る。腓腹筋の圧痛消失。天柱の圧痛に対して、両太谿(瀉)に皮内鍼を置くと圧痛が消失した。下脘の圧痛に対しては、左耳穴の脾に王不留行を貼る。左肓兪の圧痛に対しては、左湧泉(瀉)。この後、腓腹筋、腹部、首の圧痛が全て消失した。この後、下脘に温灸を置く。
右母指に症状があるので、左足の太陰脾経、太陽膀胱経で反応を探した所、隠白(瀉)、至陰(補)に反応が出た。また、左太陰肺経の尺沢(補)にも反応があった。この時点で、来院時より屈曲がスムーズになった。
膝が人工関節により、右膝屈曲時に下腿外側の痛みを訴えたので、左耳穴の胆に王不留行を貼ると、屈曲時の痛みが軽減した。

うつ伏せになり、背部兪穴を確認。左肺兪、右脾兪、右胃兪、右大腸兪、右臀部(小野寺臀点)に圧痛。
右脾兪、大腸兪の圧痛に対して、左脾兪(補)。右も過敏に感じるため脾兪7行線(瀉)。L4・5付近の痛み軽減。
右臀部に対して、左胃兪6行線(補)。臀部の圧痛消失。
左肺兪に対しては、右肺兪(補)で圧痛消失。
右母指の状態を確認してもらい、だいぶ曲げ伸ばしが動かしやすくなった様子。
最後に右脾兪に温灸をあてた。
治療後、「着替えるのが楽になり、腰や足の重だるさも軽くなった感じがする」と言って下さった。
2回目の来院時(5日後)に様子を伺った所、治療後3日間良かったとのこと。
前回よりは良くなっているが、まだ少し症状が残るので自宅での治療法、養生法として、温灸を下脘、脾兪にあてる等の指導をした。

*補瀉は迎随の補瀉で治療
*1:下脘は脾の募穴の代用、肓兪は腎の募穴の代用
*2:肺―膀胱、大腸―腎は子午の陰陽関係、大腸―脾は手足の同名経の、表裏の陰陽関係

武田 豪快




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