研修・見学の方々からの声35


 

東方鍼灸院での研修を終えて

Ⅰ.東方鍼灸院に至る道

  • 2011年10月末、ブラジルのパラナ州にある人口200万人前後の中規模都市クリチバ市からネットで吉川先生の東方鍼灸院に2-3カ月間の中期研修を申し込んだが、突然の申し込みにもかかわらず、快く受け入れて頂いた。
  • 吉川先生の「刺さない鍼」については、松田博公氏の「日本針灸へのまなざし」中の「吉川正子さんの接触鍼に群がる中医師」(2007年WFAS【世界鍼灸学会連合会】二十周年北京大会)という章や松田氏と吉川先生との対談などで知り、これからの日本鍼灸の方向性を先取りしたものとの感触を得たため、2012年6月に予定する鍼灸院開業に先立ち、是非、この目で「刺さない鍼」の実効性を確かめたいと思った。
  • 日本の鍼は元々浅い鍼が多く、針管を使うこともあり、余り痛くはないが、吉川先生の鍼は刺さずに置くだけの鍼である。こうした日本的な浅刺や接触鍼やひいては刺さない鍼がなぜ効くかの論拠となり得る傳田光洋氏の3冊の本(皮膚は考える、第三の脳、賢い皮膚)は読んでいたし、オーラ(エネルギー体/エーテル体)やチャクラや気やプラーナの存在を信じている私にとって、「刺さない鍼」の実効性はある意味では自明のことでもあった。鍼は肉体ではなく、エネルギー体に作用すると私は信じているから、必ずしも肉体に刺す必要はないと昔から思っていた。
  • アメリカの有名な物理学者でヒーラーでもあるバーバラ・アン・ブレナン博士の書いた「光の手」という本を10年以上前にポルトガル語版で読んでいた。博士は幼少時より霊視能力があり、オーラが見える。病気の人はオーラが一部損失していたり、色が黒っぽく変質していたりするらしく、この病んだオーラを手から出る光で治療する。日本にもハンドヒーリングの歴史がある。手かざし、霊気その他がそうである。
  • また、横浜の鍼灸師である茂木先生の「気鍼」という手法の驚くべき効果も5年程前に自分の目で確かめた。目の前で、首を項垂れて病んでいた犬が気鍼による治療で一瞬にして首を挙げて元気になったのである。動物は嘘をつかないし、催眠術にも掛からないから、目を見張る効果があったことは確かである。
  • 人類にとって未曾有の年とされる2012年に私たちは生きている。今は普通の人の目には見えない「経絡」が近い将来、一般人に見えるようになるかも知れない、そういう曲がり角の時代に私たちはいる。こういう時代に、鍼灸を生業とし、これまでの人生を180度転換することに一体どれだけの意味があるのか、私は一時深く悩み、私が霊的な師とみなす人に相談した。師は、地球、そしてそこに住む全ての生物乃至は無生物が肉体を越えた5次元に次元上昇しても、鍼灸は人類と共に限りなく進化して行くものだと断言した。私は3月で64歳になるが、その一言で、残りの人生を鍼灸に賭けることを決意した。
  • そして、地球の裏側のブラジルから、厳寒の帯広に去年11月末、吉川先生を訪ねてはるばるやってきた。東方鍼灸院から一番近い場所にあるウィークリーマンションを85日間賃貸し、徒歩20分前後の距離にある同鍼灸院に毎日通い、先生の診察・治療を間近に見てきた。幸か不幸か、真冬の帯広には何も気を逸らすようなことがない。寒すぎて散歩すら出来ないから、逆に鍼灸に集中でき、私にとっては幸いだったかも知れない。毎日、吉川先生に張り付いて、先生のやり方をこの2ヶ月半、身近に観察することが出来た。元来、集中力に欠ける性格であるが、この間、私が観察できたことや学んだことの極く一部を以下に纏めてみる。
Ⅱ.吉川正子先生の診断治療の手順
  • 先生の診療の手順は決まっている。望、聞、問、切の四診は勿論だが、主に、舌診、脈診、腹診、腓腹筋の触診、首診をする。ここでは舌診や脈診についての詳細は省く。
1)腹部募穴診
  • 腹診は募穴診で、肺の募穴の中府、心包の募穴の膻中、心の募穴の巨闕、胃の募穴の中脘、肝の募穴の期門、胆の募穴の日月、脾の募穴の章門(先生は下脘で代用)、腎の募穴の京門(肓兪で代用)、大腸の募穴の天枢、三焦の募穴の石門、小腸の募穴の関元、膀胱の募穴の中極を、強くなく弱くない、程良い圧力で押してその反応(圧痛、硬結、膨隆、陥下、寒熱、過敏さ、発汗、変色など)をみる。この押し加減/具合が中々難しく、毎昼、先生の治療をする際に良く訂正されたものである。
2)首周六合の経別診
  • 「首周六合の経別診」と呼ばれる首の周りの6つのツボの触診である。人迎(脾/胃)、扶突(肺/大腸)、天窓(心/小腸)、翳風(心包/三焦)、風池(肝/胆)、天柱(腎/膀胱)がそれである。胃経の人迎に圧痛がある場合、胃もしくはその表裏の脾に異常があるものと推測される。大腸経の扶突、その他のツボについても然りである。
3)腓腹筋の触診
  • また、腓腹筋を横断する3つのラインを把握してみてどこに把握痛があるかを見定める。真ん中に腎(築賓のレベル)、その一寸上が脾、一寸下に肝の反応が出る。取穴後の変化を確認する。
4)手足の十二経脈の切経
  • これが終わるといよいよ、手足の十二経脈の軽擦に移る。触るか触らない程度の軽い「フェザータッチ」で経脈の流れに沿って切経する。先生の言葉によれば、「この日、この時間に開いているツボがある。撫でて気持ちの良いところ、くすぐったいところ、最も過敏なところがその開穴である」
  • 手足の十二経脈の開穴(かいけつ)に印を付ける際、経脈の流れに沿った方が気持ち良いか、その逆の方向が気持ち良いかを必ず聞く。これは補瀉を知るためである。補の場合には(・)、瀉の場合には(・・)の印を付ける。最も敏感な一穴に、補瀉を考慮した方向に鍼を向けて置き、絆創膏で留める。この場合、補瀉が正しくないと期待する効果が表れないことがある。虚すれば補し、実すれば瀉す必要がある。
  • 私の2ヶ月半の研修の経験では、慢性病の人程、この開穴の数が多いようである。勿論、慢性病でも皮膚に触っても余り感じない人も居る。ほとんど何も感じない人でも幾つか敏感なツボがあり、そこに鍼を置くか、王不留行もしくは王不留行子(通乳・通経・止痛の作用のある漢方の種)を置くかすれば、腹や首や腓腹筋の状態が劇的に変化することが多々ある。
  • 患者さん自身、この一穴への置鍼による体の変化ははっきり自覚できるし、非常な驚きでもある。「ん?あれあれ?どうして?マジックじゃないの?」というのが多くの患者さんの反応である。先程までは、掴まれると痛かった腓腹筋の把握筋が痛くなくなり、吉川先生の表現によれば、「やわやわに」なり、腹部の募穴の圧痛がなくなって「いい感じのお腹」になり、押されて痛かった首のツボも痛くなくなるということは不思議でならないことである。患者さんにとっては、この反応は、刺さない鍼で病症に大きな変化があることの幸先の良い先触れと言える。
  • この反応こそ、鍼の効能がまさに「秒殺(びょうさつ)」と呼ばれる程、瞬時であることの証左となる。尤も、吉川先生は「殺」という言葉の語感が良くないため、より適切な表現を模索しているようである。私は殺さずに生かすという意味で、「秒生(びょうせい)」を勧めたが、これも余りパッとしないかも知れない。さて、最初の一穴の反応を見た後、残りの手足にまだ残る開穴を探すが、ここでかなり開穴が減るのが普通である。残る開穴に置鍼するか、王不留行を貼るかし、必要ならば、体の前面の適切なツボに、10〜15分程、温灸する。その後も開穴が残っている場合にはこの開穴に相当する耳のツボに王不留行を貼って、背部兪穴の診断と治療に移る。
5)背部兪穴診
  • 膀胱経の一行線や二行線(膀胱経の一行線を二行線とし、二行線を三行線とする澤田健先生式のやり方ではない通常の一/二行線)にある背部兪穴を左右平行に押して左右差や硬結を見ると同時に、陥下や膨隆、色の変化などの体表観察をする。兪穴の兪は治癒の癒に通じ、臓腑機能の異常を示す反応点であり、治療点である。背部兪穴は、圧して快い、陥下、発汗などの虚の反応に対しては、経に沿った補法をする。圧痛、膨隆、乾燥などといった実の反応に対しては経に逆らう瀉法をする。
  • 私の観察では、大部分の患者に右側の膀胱経に硬結などの変化が認められる。この場合、圧痛、硬結などの異変が見られた側と反対側の背部兪穴に鍼を置くか、王不留行を置く。特に、胆兪の二行線の陽綱(ようこう)の効能は凄い。ここに鍼を置くだけで、反対側のほとんど全ての兪穴の、硬結を中心とする異変は一気に消失することが多い。
  • また、大腸兪付近の腰痛の場合、大腸の表裏の肺の同名経である脾の脾兪への置針の効果が大きい。これは太陰陽明の陰陽関係が調整されるためである。また、腎兪付近の腰痛の場合、少陰太陽の表裏の陰陽関係で、小腸兪が効くし、子午の陰陽関係を使えば、大腸兪が効くこともある。腎は子午流注では午後6時で、午前6時の大腸と同時刻であるからである。
  • それから、坐骨神経痛には胃兪が非常に効く。(1)胃兪やその外側の胃倉、(2)小野寺殿部圧痛点(注1)、(3)足裏の土踏まずの上方にある胃のつぼの3か所に圧痛がある場合には特に、圧痛のある胃兪の反対側への鍼が非常に良く効く。先生はこれを三点セットと呼ぶ。また、最近、吉川先生は胃兪の代わりに耳鍼の胃の部位に王不留行を貼付けても胃兪同様の効果を発揮することを発見されている。
(注1)胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの時に腸骨稜下3センチほどの中殿筋に現れる圧痛点を発見者の名前を取って「小野寺臀部圧痛点」と呼ぶ。
  • 鍼灸院での主訴には肩こりが多い。吉川先生の東方鍼灸院では、先ず、どの経脈に肩こりがあるかを調べる。肝や胃や心の不調から来る肩こりもあるが、ここではこれは省く。例えば、胆経、三焦経、小腸経か等を区別して、背部であれば、小腸経から来る肩こりの場合には、小腸兪、胆経であれば、胆兪もしくは陽綱、三焦経では三焦兪への鍼で治すことが多い。勿論、耳の小腸、胆、三焦の部位を使っても良いし、手足の小腸経、胆経、三焦経に反応が出ているところがあれば、これを使うことも出来る。
  • 一例として、胆経の肩井付近の凝りと痛みに同じ胆経の丘墟に置鍼しても良いと先生は言う。また、小腸経の肩こりは小腸経の経穴か、背部の小腸兪、もしくは少陰心経で裏から瀉すことも出来る。子午流注による調整法では、小腸経(午後二時)の異変には肝経(午前二時)もしくはその表裏の胆のツボを使うことも可能である。また、耳の小腸もしくは心のツボを使っても良い。
Ⅲ.陰陽太極鍼
  • 吉川先生の鍼は陰陽太極鍼と称される。陰陽太極鍼とは、左右の陰陽(繆刺法、巨刺法)、上下の陰陽(標本根結理論:顔や頭など上半身の病(やまい)を足部のツボで改善し,足部の病は頭や顔にあるツボで改善する「標本」「根結」理論)、左右上下表裏の陰陽(陰陽太極鍼法)や、寒熱・虚実の陰陽、時間の陰陽(子午の陰陽)、局所と全体の陰陽(微鍼療法−耳鍼、頭鍼、手鍼、足底反射など)、部位の陰陽、臓腑の陰陽、これらすべての陰陽のバランスをとる取穴法で治療を行うことであると先生は説明する。これらの陰陽は複雑に絡み合っており、中医学の深い知識がなければ、理解不能、実行不能となる。理論的な部分についての知識や臨床経験がまだまだ不足している私は、非力を認めざるを得ない。まだまだ、歩むべき道程は長い。
  • 吉川先生は、先生のやり方、特にフェザータッチの切経で開穴を特定し、これに取穴するやり方だと誰でも出来ると言われるが、物事はそう簡単には運ばない。子午流注、標本根結理論、左右上下表裏の陰陽、相生相克関係、部位の陰陽、繆刺法、巨刺法など、陰陽の組み合わせは無数にある。ツボや経脈、絡脈などの相関関係の深い知識が根底になければ、吉川先生のように縦横無尽に取穴することは出来ない。
  • しかし、自分で切経し、これで特定した開穴をローラー鍼などで刺激したり、温灸したり、王不留行を貼ったりすることは勿論、自宅でも出来ることで、先生がやっているように、患者にそれを教えることは是非やるべきことだとは思う。鍼灸師は率先して患者に「自分の健康は自分で守る」ことを啓蒙すべきという点では先生に全面的に賛同する。
刺さない鍼の効能
  • 私が研修中に見た幾つかの診療例を挙げる。発症後3カ月を経過していた、ハント症候群(注2)の患者さんの顔面麻痺が2-3か月の治療でほぼ正常化しているのを観察した。この患者さんには、平常通りの診断治療後に麻痺していない健側の顔面のツボ(主に胃経)に瀉の方向に置鍼する(絆創膏で鍼を貼る)。
(注2)正式な呼び名はラムゼイハント症候群:ヘルペスウイルスが内耳や顔面神経、前庭神経などに感染することで顔面神経の麻痺・耳鳴り・めまい・難聴などの症状が現れる病気。ラムゼイハイト症候群になると、まず頭痛や耳痛が現れ、次に耳の入り口付近や周りにかゆみを伴う赤い水疱ができる。そして、症状が重くなるとヘルペスウイルスが顔面神経に感染し、片側の目が閉じなくなったり、口を閉じることが出来なくなるなどの顔面麻痺が起きる。発症後、1-2週間後に治療しなければ後遺症が残るとされる難病。
  • また、ある朝、癌の手術の経験のある患者さんが息も絶え絶えにやってきた。ひょっとしてベッドの上で本当に息が絶えるのではないかと一瞬危惧した程、状態は悪かった。顔面は蒼白で、息をするのも苦しそうに横たわっていたが、先生の治療を受けた後、顔色も表情も明るくなり、呼吸も楽になり、軽口の一つも言いながら帰って行った。
進化する吉川先生の鍼
  • 先生は今から10年後に自分がどんな鍼をやっているかが楽しみと言う。今の「刺さない鍼」自体、完全に刺さなくなったのはほんの4〜5年前でしかない。それ以前に、先生が書いたレジュメには鍼の刺し方が書いてあるし、実際に鍼を刺しているビデオもある。最近、先生は鍼よりも王不留行をよく使うから、近い将来、鍼も使わなくなる可能性が大である。このように、先生の鍼は日々刻々進化している。だからこそ、NHKへの出演やこれをベースにした本の出版などで今や全国的に有名となっている愛弟子の柳本真弓女史は、毎年、先生の進化する鍼を学びに帯広までやってくる。
陰陽点、百会の効能
  • 最近、先生の治療法にまた一つ変化が出てきた。難病の人程、開穴の数が多いが、この開穴全てに鍼を置く必要はない。鍼の数が多ければ多いほど、「情報伝達系としての経絡」(Ⅳ項参照)がメッセージを正確に受け取れなくなる恐れがある。その為、先生は治療する開穴の数を減らすことを以前から考えておられたが、最近、百会への置針で、開穴の数が激減すること、更に、百会が全身の陰陽の調整点でもあることもほぼ同時に発見された。今、吉川先生は新しいおもちゃを与えられた子供のように嬉々として、百会の効能を臨床で確認すべくテスト中である。一例として、最近の症例を以下に挙げる。
  • 切経で、右蠡溝、両上巨虚、両湧泉、両申脈、左大都、右支正、左尺沢に反応が見られたが、百会をローラー鍼で前後に数分間刺激した後、反応点を再度、確認したところ、右支正を除き、他の反応(気持良い感じもしくはくすぐったい感じ)はすべて消えていた。更に、腓腹筋や首や腹部も柔らかくなっていた。この患者の主訴は2週間前から首/肩/腰が凝るというものであったが、百会をローラー鍼で刺激した後、この主訴も消失した。勿論、全てのケースで、百会がこれ程の効果を出す訳ではないが、これまでのところ、少なくとも3分の1か2分の1の反応は消えるようだ。先生は、ほぼ全ての患者に百会の効能を試しているから、いずれ、これを纏めて発表されるはずである。
Ⅳ.新たな情報伝達系としての経絡(傳田学説)
  • 近年、大脳で高度情報処理を行っている様々な情報伝達物質とその受容体が表皮ケラチノサイト細胞に存在し、大脳の中の細胞と同様の電気化学的情報処理のデバイスとして機能していることが発見された。ここから、皮膚も情報管理システムであり、そこで経穴をつなぐ情報の流れの道筋が経穴と経穴をつなぐ経絡になっているという仮説を傳田光洋先生が立てている。「新たな情報伝達系としての経絡」仮設である。
  • この傳田仮説は日本鍼灸の「浅い鍼、接触鍼、刺さない鍼」の効能を説明する論拠となり得るが、私は、まだ、物質レベルの研究に捉えられていると思う。ケラチノサイト細胞にある情報伝達物質の伝播速度は秒速ミリメートル単位(「賢い皮膚」180ページ)となっている。しかし、この速度では吉川先生の言う「秒殺」的な、瞬時の鍼の効能を説明することが出来ない。事実、鍼を置いた途端に変化することをこの目で何度も見てきた。鍼は肉体ではなく、肉体とオーバーラップするエネルギー体(エーテル体やオーラとも呼ばれる)に作用するのではないかと私が推測する根拠はここにある。「経絡」が肉体を解剖しても発見されないのは肉体レベルにはないからだと私は思っている。物質や肉体に捉えられる限り、鍼の効果の「秒殺」的スピードは説明できないのではないかと思う。
Ⅴ. これからの鍼灸-刺さない鍼と「百匹目の猿」現象
  • 今現在、「刺さない鍼」を臨床に使っている鍼灸師は絶対的に少ない。しかし、最近、「てい針」を使った治療法についての本やDVDも出ているし、ヨーロッパではクリスタルから作る「Stiper」という物をツボに貼りつける療法が徐々に浸透しつつあり、ブラジルでも普及されつつある。
  • 私は前述のごとく、鍼は肉体ではなく、エネルギー体に作用すると思っているから、刺す必要はないと思っている。間近に迫る次元上昇後の地球ではエネルギー体が恐らく誰の目にも見えるようになるであろう。今でも霊視能力のある一部の人は見ることが出来る。従って、刺さない鍼が全地球的に普及するのはもう秒読みの段階に入っていると私は思う。
  • 「百匹目の猿」と呼ばれる現象がある。これは「ある思い」を持つ人の数が増えていき、一定数以上になると、突然、他の集団にまでその思いが伝播するという現象である。百というのはあくまで比喩であり、多くの思いが集まれば、一気に全体に広がるということを意味する。これはルパート・シェルドレイクと言うイギリスの生物学者の「直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことが他の人や物に伝播する」とする仮説(形態形成場仮説)に似ている。この仮説をベースにすれば、刺さない鍼を使う鍼灸師がある一定数に至れば、これが全国的、全世界的に波及するのは時間の問題となる。私はこの時が近づきつつあると思っている。吉川先生はこの新しい時代の潮流の先駆けとなる人の一人である。
Ⅵ.吉川先生の人となり
  • 先生は熊本出身だから、情熱的な「火の国」の女である。伊藤忠という大手商社に長年勤めた後、30代で鍼灸師の資格を取って、正式に鍼灸院を開院したが、OL時代に水俣病に関する運動に関与していた時代から既に鍼灸に手を染めていたようである。中医学関連の文献の翻訳なども数多く行い、中国の有名な中医師たちとの交流も長い。何度も鍼灸関係の国際会議や国内会議で論文を発表している。これだけの経歴の持ち主であるにも関わらず、先生からは驕りの一かけらも感じられない。
  • 毎日、10〜30名の患者を治療しても、先生の治療はマンネリ化しない。上に触れたように、先生の治療は進化して止まない。4〜5年前から接触鍼から全く刺さない鍼に移行した先生が、恐らくは近い将来、鍼すらも使わなくなるのではないかと私が見ているのはそのためである。事実、鍼から王不留行に徐々に移行し、現在、使う鍼の数は減っている。但し、瀉の鍼の場合には経絡の方向とは逆の方向にする必要があるから、補の役割を果たす王不留行は使えない。しかし、例えば、腎経のツボの瀉の場合には、同側の耳の、腎と表裏の関係にある膀胱点に王不留行を貼ることで代用することができる。このようなやり方で徐々に鍼を使わなくなるのではないかと私は見ている。鍼をいつの間にか刺さなくなったように。そして、治療点の数も今後、なるべく少なくする方向に向かうと思う。百会はそれをスピードアップするための有効な手段となるのかも知れない。
  • 先生は鍼灸の道では私の大先輩だが、年齢的には余り変わらないこともあり、つい、甘えて、本音で話してしまうことが多い。先生の人徳のなせる技である。だから、私は帯広に、子供のような無垢な笑顔の、とっても素敵な友達が出来たと思っている。吉川先生、先生の鍼法をブラジルで普及したいと思っていますので、弟子として、これからも末長くお付き合い下さい。
                  

2012年2月24日
ブラジル連邦共和国パラナ州クリチバ市
吉原 多美江




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