研修・見学の方々からの声30


 

 今回はお忙しい中、11月8日から12月2日までの研修を受けさせていただき、本当にありがとうございました。自分にとって鍼というものの考え方を一から見直さざるを得ないほどの衝撃的な21日間でした。

 実を言うと、ここお世話になる前は先生の提唱される「陰陽太極鍼」なるものに、それほどの興味を持っていませんでした。 視力の弱い自分にとって一番の目的は、短期研修 Dコース「視力回復法」の習得でした。もちろん、充実した研修にするために、事前に先生のDVDを拝見したり、その内容をノートに書き留めたりと、それなりの予習をしたつもりです。したつもりだったのですが、実際の先生の施術を拝見したとき、自分は上っ面でしかモノを見ていなかったことを理解しました。

 事前の触察で腓腹筋の把握痛を確認する。開穴を探し、そこに一本鍼を置く。その後の触察で、もう一度腓腹筋の把握痛を確認する。それは、DVDの中で、先生がすべての症例に対して行われる一連の動作です。先生は単に「やわやわですね」の一言で終わられていましたが、実際に自分で触らせていただいたとき、そのやわやわ度合いにビックリしました。本当に、あの硬かった筋肉が他覚的にも本当に柔らかくなっているのです。自分は学校で「按摩で筋肉をほぐす為にはどうすればよいか」ということを色々模索してきました。しかし、ここで見た柔らかさは、そんなものが戯れにしか思えないほどの見事なやわやわさです。正直、人様の手技を見て鳥肌が立ったのは初めての経験でした。

 募穴に反応がある。それに対応した経穴に鍼を置く。ただそれだけのことで、募穴の圧痛が消えている。学校では胡散臭いとしか教わらない、経絡の存在を信じざるを得ない瞬間でした。 東洋医学は実際に患者を癒すための学問で、それに長年身を投じられてきた吉川先生の集大成(もしくは途中経過)が「陰陽太極鍼」なんですね。

 現場で見る「陰陽太極鍼」は自分が抱いてきた東洋医学、もしくは経絡治療に対する疑問に答えてくれるものでした。特にその凄みは開穴を探す作業とその開穴の効果を確認する作業の繰り返しにあると思いました。開穴の場所は患者様の体を軽擦して確認する。その開穴の効果は圧痛が消えたかどうかで確認されます。そして、それが消えたかどうかは、施術者はもちろん、患者様にもわかってしまいます。圧痛が消えたら次は何をするか、圧痛が消えなかったらどこを調べていくか。次の開穴を探す一挙手一投足が吉川先生のお考えを示していて、それは私のような見学者にも、その一端が垣間見えてしまいます。

 脈診・腹診から証を立て、六十九難に基づいて選穴される治療法では判りづらい見立てのコツを、誰が見ても判るように先生は施術されているんですね。まあ、誰にでも判るとはいえ、そこは鍼灸師としてまだスタートラインにも立っていない自分のことですから、判らないことも多々ありました。でも、先生は呆れもせず、すべての質問に答えてくれました。それどころか、今まで書き綴られた論文等も惜しげもなく披露していただけました。「胃兪穴と坐骨神経痛について」「『王穴』による五十肩治療」などなど、大変面白い論文を多数読ませていただきました。

 自分が今回の研修で最も参考にすべきだと思ったのは、先生の施術に望む姿勢でした。一穴一穴にその意味を考えながら施術されるその姿をみて、アイザック・ニュートンが晩年、「あなたは幾多のすばらしい発明をどうして思いつくことが出来たのですか」と問われて「考え続けてさ」と答えたエピソードを思い出しました。患者様とは最小限の会話で淡々とこなされている印象もありますが、恐らく先生の頭の中は患者様の病態を把握されることでいっぱいなんだと思います。そして、その中で少しずつ少しずつ改良を加えられ、私の知る東方会系の先生方とはまったく異なる、また、お借りしたDVDにあった10年前の吉川先生の施術ともまた異なる、この素晴らしい「陰陽太極鍼」を編み出されたのですね。

 私も来年の4月からは、きっとおそらく国家試験に合格して、鍼灸師としての新たな人生を踏み出します。それがどんな人生だとしても、先生に見せていただいた施術者としての志は決して忘れることなく、前を向いて歩んでいきたいと思いました。

 この研修で出会えたすべての方々に感謝いたします。本当にありがとうございました。

2011年12月5日
富山県立富山視覚総合支援学校
高等部専攻科理療科3年
中西 晃裕




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