帯広市 東方鍼灸院 吉川正子
釧路市 杏園堂鍼灸院 須藤隆昭
秋田市 大成鍼灸院 加藤 均
札幌市 伯仁堂鍼灸院 濱野好伸
我々は、痛みなどの症状に、身体の陰陽のバランスを最大限に調整できる一点を陰陽太極鍼法(陰陽交叉鍼法)と名付け、広く臨床に応用し、優れた効果を得ているので報告する。
■方法
まず痛む部位が、何経に属するかを調べる。穴は、その対角線上にある。上の病は
下に、左の病は右に、陽経にあるものは陰経にとる。例えば(例1)痛む部位が、左足関節外果の前下方の゛丘墟゛附近にあれば治療穴は、右手関節内側の゛大陵゛である。つまり、゛丘墟゛は、足の少陽胆経上にあるので手の少陽三焦経と同名経であり、その表裏経は厥陰心包経であり、対応する部位は右の゛大陵゛となる
■症例
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左膝内側゛内膝眼゛附が発赤腫張し痛む。右゛曲池゛に刺入し、得気させると痛みがとれ腫れがひいた。゛内膝眼゛は足の太陰脾経上にあり、手の太陰と表裏の陽明大腸経の゛曲池゛が身体の上下左右表裏の陰陽を一穴で調整できる。 |
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右足首内側゛大谿゛附近が冷えて痛い。
左゛養老゛に刺入後、楽に。足の少陰は手の少陰と同名経であり、その表裏経の太陽小腸経の゛養老゛が究極の一点である。 |
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腱鞘炎で右手首の撓側゛太淵゛附近が腫れて痛み、手を屈曲しにくい。左゛解谿゛に刺入後手首が楽になる。手の太陰は足の太陰と同名経、足の陽明とは表裏経で、上下左右表裏の陰陽が調整されたため、腫れが退き、症状が改善された。 |
その他、いろいろに応用が可能である。
症状のある所 治療点
(同名経) (表裏経)
例1 (左の)足の少陽胆経----→手の少陽三焦経-→(右の)手の厥陰心包経
例2 (左の)足の太陰脾経----→手の太陰肺経---→(右の)手の陽明大腸経
例3 (右の)足の少陰腎経----→手の少陰心経---→(左の)手の太陽小腸経
例4 (右の)手の太陰肺経----→足の太陰脾経---→(左の)足の陽明胃経
※この取穴法の利点は
- 経絡がわかれば、誰にでもすぐに応用ができる。
- 効果判定が即時に可能である。
- 刺鍼と同時に臓腑の異常も調整できる。
- 効果の持続性に優れ、治癒率が高い。
■考察
身体の経絡は三陰三陽に別れ、手足に同名経があり、それぞれに表裏経がある。身体の上は陽で下は陰、左は陽で右は陰、表は陽で裏は陰である。
我々は、この方法が一穴で簡単に上下、左右、表裏の陰陽を全て調整でき、全身の陰陽のバランスを最大限に調整できる極めて優れた方法であると確信する。